相棒がチェロ轢きなので、ケラスの演奏はたまに聴いていた。
あ、生ではなく、録音(CD)で。
なかなか斬新かついい演奏をする人だなあ、と思っていたが、たまたま近所のホールでコンサートがある、というのでやってきた。
なので私はどっちかというとケラスに注目していたのだが。
結論から言うと、
「素晴らしいデュオ」だった。
の一言に尽きる。
プロだから、「音はそれなりに出ている」演奏をする人はごまんといるのだけれど、ちゃんとお互いがやりたいことの意図を酌んで、それぞれの良さと曲の良さを最大限に引き出すパフォーマンスをする演奏ってなかなかない。
そういう意味では、今回の曲目は彼らの「好きでかつ得意なラインナップ」なのだろう。
やっつけだけの合わせでは絶対にできないよ、あれ。
フランスのエスプリが薫る…と月並みな表現になってしまうけれど、
2曲目のブラームスにしても、音楽と表現が身体の一部に染み込んでいるからこそ、あそこまで表現力を追求していけるんではないかなあ、と圧倒された。
後半は小品がずらりと並ぶ。
ポッパー編曲だけあって、やっぱりショパンというよりはポッパーな音楽になっていた。
最後の「ハンガリー舞曲」など、良い意味での「やりたい放題」だったな。
ホールの年齢層だと、あのはっちゃけぶりは理解してもらえたのだろうか。
こういう演奏を聴いてもっと若い層が楽しくクラシックと生活を共にできるようになったらいいのだけれど。
上機嫌の彼ら、アンコールは3回、3曲も弾いてくれた。
すんごい充実した、音楽観が変わるコンサートだった。